車が必須な都道府県は? 車がないと地方移住はできない?

地方の公共交通は不便なところが多いのが現実です。バス路線は全国の66%が赤字になっていると言われ、路線が廃止されれば、さらに地方での交通手段が少なくなる可能性もあります。
自動車保有台数の都道府県ランキングから、車保有台数が多い、つまり車が生活に必須な都道府県を紹介します。はたして車がないと地方移住して生活するのは難しいのでしょうか?
1世帯あたりの車保有台数が多い都道府県は?
都道府県 | 世帯あたり車保有台数 | |
---|---|---|
1 | 福井県 | 1.718 |
2 | 富山県 | 1.672 |
3 | 山形県 | 1.661 |
4 | 群馬県 | 1.607 |
5 | 栃木県 | 1.58 |
6 | 岐阜県 | 1.571 |
7 | 長野県 | 1.563 |
8 | 茨城県 | 1.56 |
9 | 福島県 | 1.543 |
10 | 新潟県 | 1.535 |
11 | 山梨県 | 1.52 |
12 | 佐賀県 | 1.488 |
13 | 石川県 | 1.46 |
14 | 三重県 | 1.438 |
14 | 鳥取県 | 1.438 |
16 | 岩手県 | 1.39 |
16 | 秋田県 | 1.39 |
18 | 島根県 | 1.386 |
19 | 静岡県 | 1.385 |
20 | 滋賀県 | 1.364 |
21 | 岡山県 | 1.346 |
22 | 徳島県 | 1.345 |
23 | 香川県 | 1.319 |
24 | 熊本県 | 1.295 |
25 | 宮城県 | 1.279 |
26 | 大分県 | 1.27 |
27 | 宮崎県 | 1.265 |
28 | 愛知県 | 1.248 |
29 | 山口県 | 1.234 |
30 | 沖縄県 | 1.23 |
31 | 青森県 | 1.222 |
32 | 和歌山県 | 1.211 |
33 | 鹿児島県 | 1.153 |
34 | 愛媛県 | 1.116 |
35 | 高知県 | 1.108 |
36 | 奈良県 | 1.096 |
37 | 広島県 | 1.095 |
38 | 長崎県 | 1.082 |
39 | 福岡県 | 1.053 |
40 | 北海道 | 0.999 |
41 | 埼玉県 | 0.964 |
41 | 千葉県 | 0.964 |
43 | 兵庫県 | 0.906 |
44 | 京都府 | 0.825 |
45 | 神奈川県 | 0.712 |
46 | 大阪府 | 0.644 |
47 | 東京都 | 0.443 |
全国 | 1.043 |
自家用乗用車の世帯普及台数で、1世帯あたりの保有台数ランキングを見てみましょう。ランキングの1位は福井県の1.718台です。1世帯あたり車を1台以上保有している都道府県は、福岡県の39位以上にランクインしている39県です。地方では、車が必需品ということがわかります。
北海道は40位にランクインしており、地下鉄が発達している札幌の数字が大きく影響していることが推測できます。41位以下にランクインしている都道府県は、東京都、大阪府をはじめとする大都市圏となっています。
1人あたりの車保有台数 都道府県ランキング
都道府県 | 1人あたり車保有台数 | |
---|---|---|
1 | 群馬県 | 0.69 |
2 | 茨城県 | 0.666 |
2 | 栃木県 | 0.666 |
4 | 富山県 | 0.663 |
5 | 山梨県 | 0.661 |
6 | 長野県 | 0.653 |
7 | 福井県 | 0.646 |
8 | 福島県 | 0.64 |
9 | 岐阜県 | 0.638 |
10 | 三重県 | 0.632 |
11 | 山形県 | 0.624 |
12 | 石川県 | 0.614 |
13 | 宮崎県 | 0.609 |
14 | 新潟県 | 0.606 |
14 | 徳島県 | 0.606 |
16 | 鳥取県 | 0.601 |
17 | 香川県 | 0.598 |
17 | 佐賀県 | 0.598 |
19 | 秋田県 | 0.595 |
20 | 岡山県 | 0.594 |
21 | 静岡県 | 0.593 |
22 | 大分県 | 0.591 |
23 | 山口県 | 0.59 |
24 | 島根県 | 0.588 |
25 | 岩手県 | 0.581 |
26 | 鹿児島県 | 0.573 |
27 | 熊本県 | 0.569 |
28 | 青森県 | 0.565 |
28 | 和歌山県 | 0.565 |
30 | 滋賀県 | 0.553 |
31 | 沖縄県 | 0.548 |
32 | 高知県 | 0.547 |
33 | 宮城県 | 0.545 |
34 | 愛知県 | 0.54 |
35 | 愛媛県 | 0.535 |
36 | 北海道 | 0.521 |
37 | 長崎県 | 0.507 |
38 | 広島県 | 0.506 |
39 | 福岡県 | 0.494 |
40 | 奈良県 | 0.48 |
41 | 千葉県 | 0.439 |
42 | 埼玉県 | 0.43 |
43 | 兵庫県 | 0.416 |
44 | 京都府 | 0.384 |
45 | 神奈川県 | 0.333 |
46 | 大阪府 | 0.311 |
47 | 東京都 | 0.229 |
全国 | 0.477 |
次に、1人あたりの車保有台数を見てみましょう。茨城県、栃木県、群馬県と北関東がトップ3に入っています。トップ10と下位ともに、1世帯あたりの車保有台数ランキングと似ていることがわかります。
群馬県警の集計によると、県民の運転免許保有率は2018年10月末時点のデータでは71.61%で、1969年から都道府県別で首位を守っています。運転免許保有率を男女別で見ても、男性が77%で3位、女性は66%で1位を占めています。また、群馬県民調査では、4人に1人が「100m先でも車で移動する」と答えています。
車生活のメリット

地方移住を検討している人の中には、地方での車生活がイメージできない人もいるでしょう。車生活のメリットを見ていきましょう。
ドアトゥードアの生活
車生活では、公共交通機関や乗り換えの待ち時間を気にしなくていい点がメリットです。地方は車渋滞があまりないので、自分のペースで移動しやすいのです。自宅から車に乗り、そのまま一直線で目的地に着くことができます。
重いものを運べる
車があれば、米や水などの重いものを手軽に運べるので買い物が楽になります。安売り店でのまとめ買いにも便利です。キャンプなど荷物が多いレジャーも身近に感じられ、家族で過ごす時間も多くなるでしょう。
雨でも病気でも気軽に移動できる
都心では駐車場料金や駐車場の場所などを気にする必要がありますが、地方では車生活が当たり前なので、行く先々に駐車場があり、駐車料金もかからないことが多いです。
駐車場の心配がない地方では、車での外出が気軽になります。雨の日でも濡れずにお出かけできたり、病気の子供を病院へ連れて行けたりするため便利です。
大人数だと経済的
家族4人など大人数で移動する場合は、高速費用やガソリン代がかかっても公共交通機関より車で移動する方が割安になることが多いです。
深夜でも移動できる
車があれば公共交通機関がストップしている深夜でも、すぐに移動できます。深夜に病院へ行かなければならない時など、緊急時にも車があれば便利です。
さまざまな場所へ立ち寄りやすい
車移動であれば、目的地以外に途中のさまざまなスポットへふらっと立ち寄りやすい利点もあります。地図に載っていないような絶景スポットや隠れ家レストランを見つけられるかもしれません。
車生活のデメリット

車生活にはたくさんのメリットがありますが、デメリットもあります。高齢者と車の関係には難しい問題もあります。車生活のデメリットをご紹介します。
維持費がかかる
車を持つとなると、購入時の車両代はもちろん、保険料や税金、ガソリン代などさまざまな維持費がかかります。安全に車に乗り続けるためには、車検など定期的なメンテナンス費用も必要です。
歩かず運動不足になる
前述の群馬県の県民調査のように、100mでも車で移動するなど、普段から車で移動する習慣が付いていると歩く機会が減ってしまいます。そのため極端な運動不足が心配されます。
1人あたりの車保有台数が多い北関東のトップ3の平均寿命ランキングは、群馬県が27位で、栃木県が42位、茨城県が34位という結果になっています。
高齢になると安全運転が難しくなる
高齢者の免許返納の動きは進んでいるものの、地方では高齢者も車を移動手段に使う場合が多いです。地方で暮らす80歳以上の高齢者の移動手段は車が5割となっており、75歳以上の運転免許保有者数は年々増加しています。地方で通院や買い物をする場合、不便な公共交通機関を利用するのは高齢者にはとても負担です。
車の死亡事故件数が年々減少する中、75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は微増傾向にあります。国土交通省が発表した「高齢者の移動手段の確保に向けた最近の動きについて」を見ると、2015年の年齢層別免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳以上が9.6件と、その他の年齢平均(4.0人)の倍以上となっています。
高齢者の移動手段の確保に向けた最近の動きについて|国土交通省
車なしでも地方で生活する方法

地方では車がないと生活できないと思われがちですが、車なしで生活している人もいます。次は、地方で車を持たないで生活する方法を紹介します。
スーパーの徒歩圏内に住む
地方では、徒歩圏内にスーパーがないことも珍しくありません。毎日の買い物に不便しないために、自宅の徒歩圏内にスーパーがあることが条件です。
ネットスーパーの配達圏内に住む
ネットスーパーが配達してくれるエリアに住めば、実店舗のスーパーが近くにある必要はありません。ネットスーパーは品ぞろえも豊富で値段も安価なものがあり、ネットスーパーだけで生活することも可能です。
職場の近くに住む
毎日勤め先まで移動する必要がある場合、職場の近くに住めば通勤移動には困りません。自宅から勤め先までが徒歩圏内、または自転車で行ける距離に住むことで不便はしないでしょう。毎日適度な運動をすることになり健康にも繋がります。
便利なバス路線が通っている地域に住む
地方で車がない場合、市内の移動に便利なバス路線のバス停、または駅の近くに住むことです。「便利な路線」が重要で、バス停が近くても1日1本しかないバス路線では、あまり使用できるチャンスはありません。将来的に路線が廃止されるリスクもあります。移住地域のバス路線を事前に調べておくといいですよ。
周りに頼れる環境を作る
どうしても必要な際に、車を出してくれる知り合いを作っておくことも重要です。日頃から近所の人とのコミュニケーションをはかっていれば、お互いに助け合うことができますね。
高齢者は公共交通の助成や乗合タクシーも
高齢者を対象に、自治体によっては、公共交通利用の助成など利用しやすいサービスを導入しています。たとえば大阪府堺市では、市内の路線バスや阪堺電車でICカードを提示すれば、1乗車100円で利用することができます。香川県高松市では、交通系ICカードを導入している公共交通の運賃が半額になります。
群馬県前橋市では、タクシー運賃の一部(2人以上の相乗り利用の場合、1人1乗車につき最大500円)を支援する制度もあります。石川県加賀市では1回500円で利用できる乗合タクシーも運行しています。その他、自宅からバス停の距離や要介護度などを加味した公共交通の助成制度がある地域もあります。
まとめ

大都市圏を除く39県は車社会であると言えます。車なしで田舎に住むのは厳しいでしょう。しかし、車なしで生活する方法もあります。
移住先を考える時は、車なしでも生活できるか、自分が高齢になっても生活できるかなどもイメージしてみましょう。移住後に車を保有するか、車を保有しなくても暮らせる地域に移住するか、なども基準に移住先を選んでくださいね。